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【記事まとめ】BtoBマーケティングにおけるMAの運用ガイド

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本インサイトでは、これまでに「日々の施策に役立つ情報」「データ活用戦略の考え方」「営業・マーケティング組織の目指すべき姿」など、さまざまな切り口からMA(マーケティングオートメーション)を有効活用するための知見を紹介する記事をお送りしてきました。

本稿はこれらの記事を体系的にまとめた『BtoBマーケティングにおけるMAの運用ガイド』として、MA初心者の方に向けてBtoBのMA活用の全体像をわかりやすく紹介します。

すでにMAの導入検討がお済みで、施策の実行やその準備を具体的に進めている段階で役立つ情報を体系的に解説します。

これから本格的にMA運用をおこなう方はもちろんのこと、すでに運用中の担当者の方も「マーケティング戦略とMA運用がきちんとかみ合っているか」を改めて振り返る機会として、ぜひご活用ください。

事前準備:MAとは何か、達成すべき上位目的は何か

一般的にMAは「マーケティング活動を自動化する」ツールとして紹介されるケースが多々あります。
事実、MAはリード管理やメール配信など、自動化のためのさまざまな機能を備えています。しかし、当社としてはその本質かつ上位目的は「ROMI (Return On Marketing Investment)の可視化・最大化」であると考えています。

マーケティング活動で生み出したリード(見込み顧客)は、営業活動や商談を経て、やがて企業の売上となる。これらは当たり前のことですが、特に売上となるまでの検討サイクルが長いBtoBビジネスでは、投資効果として「売上への貢献度合い」を測る視点も不可欠です。

筆者もこれまでに、MA導入前の戦略立案から運用が軌道に乗った段階まで、複数のMAを使ったコンサルティング業務を担当してきました。

その全てで共通していたのは、「MAの活用をとおしてどのような目標を達成したいか」を関係者間で明確に言語化・共有できているかが、MA運用の成否に関わるということです。

詳しくは後述しますが、メール配信の結果分析ひとつとっても、「その結果がマーケティング活動、ひいては自社のビジネス戦略にどう影響するか」との視点の有無で、得られる示唆は大きく異なってくるのです。

以上を踏まえると、MA担当者にはツールの理解だけでなく、組織目標や業務を含む広い範囲の理解も求められるといえます。日々の施策運用への取り組みだけでなく、ときには好奇心をもってスキルアップに臨むことも大切でしょう。

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MA運用の重要ポイントを3ステップで解説

ここからはMA活用を「戦略→設計→実行」の3ステップに分けて、MA運用の重要ポイントを整理します

ステップ主な重要ポイント
1. 全体戦略の定義
  • ビジネス戦略
  • プラットフォーム戦略 
  • データ戦略 
2.キャンペーン設計 
  • リードプロファイリング・スコアリング
  • メールマーケティング
  • Always On Programによるリードナーチャリングの自動化
3.実行
  • 施策運用の標準化(定常業務化) 
  • 応用編:既存コンテンツの有効活用

それぞれについて、順番にみていきましょう。 

ステップ1全体戦略の定義 

新たに施策を組み立てる前の準備段階、あるいはすでに施策実行している段階のPDCAとして、マーケティング活動の上位目的から逆算した戦略策定をおこなうステップです。

マーケットワンでは、いきなり具体的なMAの設定や施策の設計をする前に、ぜひこのステップに時間を割いてほしいと考えています。

MA運用の具体から離れた抽象度の高い話題になりますが、戦略と合致していないツール運用は著しく効果が低くなりかねないためです。

リードナーチャリングのあるべき姿 – 顧客は“育成”するものなのか?でもご紹介したとおり、Kotler/Keller(コトラー・ケラー) の『Marketing Management』によれば、そもそも“マーケティング”とは「顧客のニーズを満たすことで、自社に利益をもたらすこと」であると述べられています1

ビジネスとして利益をもたらすため、マーケティング活動をとおしてリードを生み出し、将来の売上へつなげる一連の取り組みは「デマンドジェネレーション」と呼ばれています。

【記事まとめ】BtoBマーケティングにおけるMAの運用ガイド

 

リードを獲得し、絞り込んでインサイドセールスや営業にパスするまでの一連の流れでは複数部門を経由して情報を受け渡していくため、リードデータ運用のルールや体制が組織横断で整っている必要があります。

「リードマネジメント」を支えるのが、MAやSFA (セールスフォースオートメーション)といったデジタルツールであり、これらは単体ではなく連携させたシステム・データ基盤=「プラットフォーム」として捉えて運用することが求められます。

参考までに紹介すると、これらのプロセスや各ツールを連動させ、機能させるための組織や仕組み作りが、マーケットワンの提唱するデマンドセンター構築です。

デマンドジェネレーションとリードマネジメント機能を「セントラライズ = 集約・一元化」させることで、難易度の高い組織横断での連携を実現できます。

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ビジネス戦略

MA運用について詳しく言及すれば、「ビジネス戦略」「プラットフォーム戦略」「データ戦略」の3要素に分けられます。

これら3要素は連動させて考えることが重要ですが、まずはビジネス戦略から整理するとよいでしょう。

すでに説明したとおり、リードマネジメントでは複数部門を経由して情報を受け渡していきます。よくイメージされるマーケティングから営業へのホットなリードの引き渡しに加え、案件化見込みの薄いリードをマーケティングが受け取って育成(ナーチャリング)することもあります。

ただし、顧客側の立場で考えれば、どの部門が相手をしているかは関係ありませんので、一貫した体験であることが必要です。例えば、以前に問い合わせフォームで伝えた内容と同じことを、インサイドセールスと営業それぞれから何度も聞かれたら億劫に感じるでしょう。

それゆえ、顧客視点での顧客接点(タッチポイント)の管理、つまりCRM (Customer Relationship Management)が重要で、SFAもCRMのサポートツールの1つです。

とはいえ、顧客視点に過度に偏りすぎれば、自社が必要とする情報やビジネスプロセスと乖離する可能性も懸念されるため、適度なバランスを取らなければなりません。

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プラットフォーム戦略

顧客視点で整理したビジネス戦略は、システムに落とし込んでいくことになります。この時に重要な視点が、MAなどのシステムはあくまでツールであり、マーケティングや部門・組織全体の目標を達成するための手段にすぎないということです。

ただメールを送っているだけ、システム間を連携させてデータを送り込むだけという状況では、ツールを使うことが目的にすり替わっていると言わざるを得ません。

現場レベルにまで具体化した状態で部門間の戦略すり合わせや役割分担を明確化し、目標や指標の“共通言語化”がおこなわれることで、ようやくビジネスの基盤=プラットフォームとしての効果を最大化できるのです。

また、DX=IT化だけでは終わらない!(1) – 成果を出すためのカギ –でもご紹介しているとおり、仕組みを作ることと、仕組みを回し続けることでは別の難しさがあるものです。

異なる役割や評価体系をもつ部門同士で継続的に連携し続けるためには、部門間の“壁”を取り除くことも重要であり、こうした部門横断の取り組みの一つに営業・マーケティング連携(セールスマーケティングアライメント)があります。

特に日本は、MAを先行して活用している欧米と比較して、伝統的に固有の企業文化を持つため部門間連携の課題を抱えがちです。そうした違いを念頭に置きながら部門間の「あるべき姿」の共通理解を形成し、組織全体で維持していきましょう。

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データ戦略

リードの属性(例:業界・業種や役職など)から最初に自社と接点を持ったキャンペーンの記録まで、MAではすべてがデータで構成され、データで判断されるのが特徴です。

MAによる自動化では、こういったデータに基づきツールの動作を設計するため、自社のデータ戦略の理解と定義が不可欠と認識しましょう。

例えば、データ戦略では以下のような取り組みが必要です。

  •  ビジネス戦略を踏まえて、ターゲットとする顧客はどのような人物か(=ペルソナ)定義する。
  • リードマネジメントに必要なデータをビジネスモデルから逆算して整理し、それらをプラットフォーム戦略としてシステム間で統合されたデータベースの仕様に落とし込む。

データ戦略をおろそかにすると、後述するリードプロファイリングやスコアリングがうまく機能せず、施策の効果検証をしたいのに「欲しいデータが取れていない」という状態になりかねません。

施策の実行段階になってからデータを定義していては遅い(効果が下がるか出るまで余計に時間がかかる)ので、注意して取り組みましょう。

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戦略の定義はMA運用前におこなう必要がある 

当社も、クライアント企業から「SFAは管轄部門が違い、影響を与えない範囲でしかMAを運用できない」「データの仕様がMAとSFAで異なるため、そのままではMAで使えない/分析ができない」という悩みを頻繁に耳にします。

この場合、上記の3要素が揃っていない、つまりデマンドセンターが上手く機能していないことが背景にあります。

とはいえ、MA運用に関する戦略設計を放置すればするほど、運用プロセスやシステムはもっと複雑になり、修正が必要なデータが積み上がってしまいますので、手遅れになる前に手を打たなければなりません。

営業活動も含めた自社の顧客接点全体を見渡し「自社ビジネスに必要なデータがどうあるべきか」を踏まえ、マーケティング活動において最適なプラットフォーム設計をおこないましょう。

ステップ2システム・キャンペーン設計

システム・キャンペーン設計は、ステップ1で立てた戦略に基づき、必要なデータを得るためのシステム設計や、KPIを達成するキャンペーン施策を設計する段階です。

ステップ1の戦略立案を適切に実施できていれば、「何を目的に、どんなデータを取得し分析すべきか」までが明確になるはずですので、設計に落とし込む難易度はそこまで高くないでしょう。

例えば、キャンペーン施策であれば、「誰向けのメッセージやコンテンツなのか」「それをつうじて相手にどのようなアクションを起こしてほしいのか」を基に施策の企画とキャンペーン設計をおこなうのが効果的です。

MAを使った代表的なキャンペーンは「メールマーケティング」ですが、施策の根幹にかかわる「リードプロファイリング・スコアリング」などによるデータ定義も求められます。以下より、個別にみていきましょう。

リードプロファイリングスコアリング 

リードプロファイリングやスコアリングは、顧客の属性や行動から自社のマーケティング活動でターゲットとする対象はどのような人かを、プラットフォーム上のデータから整理する取り組みです。

メール配信のセグメンテーションからリードフォローの優先度判断まで、注力すべき顧客を見出し、効果的にアプローチしていくために欠かせないといえるでしょう。

MA運用ではリードマネジメントの自動化について頻繁に語られますが、体系的に戦略を組み立て活用するには少し時間がかかります。

逆にいえば、根本のデータ戦略が整っていれば、後から利用することも可能です。

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メールマーケティング 

MAを使ったメールマーケティングでは、配信全体をとおして「どのようなデータを取得することができるか」「指標をどう分析して、どのように施策の改善へ紐づけるべきか」を押さえておく必要があります。

配信がワンパターンになることを防ぐため、メッセージの差別化=パーソナライゼーションが有効です。加えて、UI/UXに大きな影響を与えるダークモード対応も、見落とされがちですが重要な施策といえます。

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Always On Programによるリードナーチャリングの自動化 

MA運用を進めるうえでひとつの目標としたい施策が、Always On Programです。

Always On Program とは「顧客が欲しい時に、最適な情報を届ける」プログラムのことです。新しく自社に興味を持ったリードに対して、興味関心に合わせた複数のコンテンツを順次届け、“ホット”なうちにナーチャリングをおこなう一連のプロセスを自動化する取り組みを指します。

「ビジネス戦略」「プラットフォーム戦略」「データ戦略」が三位一体となった状態で実施することで効果を最大化できるため、設計難易度は高いものの、MAによるリードマネジメント自動化の最適解の1つです。

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ステップ3:実行 

ステップ3は、前段のキャンペーン設計から地続きとなるフェーズです。キャンペーン施策などのMAの業務運用をおこない、結果の分析から改善へつなげる段階であり、やがてステップ1.全体戦略の定義に戻るという特徴があります。

ステップ2のキャンペーン施策で、アプローチするべき対象と期待するアクションを明確にして企画を立て設計していれば、「反応したリード全体のうち、意図したペルソナは何割だったか」「実際にアクションを起こしてくれたリードはどれだけいたか」と、実行後に各指標をもとに施策の振り返りが行えます。

つまり、KPI達成に向けた施策の改善に繋がるのです。前述のとおり、MA運用ではROMIの視点も大切ですので、常に念頭においておきましょう。

以下より、MA運用の定着と最適化の視点から、要点を絞って重要ポイントを紹介します。

施策運用の標準化(定常業務化) 

多岐に渡るマーケティング業務を日々こなすには、業務のワークフローを整えることで生産性を上げることも必要です。

業務を効果的に標準化するためには、単にマニュアルを作成するだけではなくプロセス全体の整理が必要です。

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応用編:既存コンテンツの有効活用 

施策運用が定着し軌道に乗ってきたら、コンテンツ利用の最適化に取り組むことで、さらに成果を出せるようになります。

施策のたびに乱立した休眠状態にあるコンテンツを、顧客視点で新たな付加価値をつけて有効活用できる概念としてリソースセンターが挙げられます。

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MAの発展的な運用 

日々の施策運用とは異なり、マーケティング活動の発展に応じて発生するケースを紹介します。

いずれも難易度が高くなるため、丁寧な情報収集に加え、適切な社内外の関係者の協力のもとで、戦略立てて取り組むことが重要です。

MAの海外展開 

国内のみで利用していたMAを海外のグループ会社へ展開する場合、自社の状況に合わせた「ビジネス戦略」「プラットフォーム戦略」「データ戦略」と設計応用が欠かせません。

グローバルマーケティング推進のためには、社内のステークホルダーと連携しつつ、自社にあったマーケティングモデルも構築する必要があります。一連のプロセスは、対談記事の事例もご参照ください。

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MAツールの移行 

現在利用しているMAツールを別のシステムに移行する場合、移行には様々な要因が絡み合うため、事前に検討を重ねることが求められます。

移行に伴いメールドメインやIPアドレスが変更になるのであれば、メール配信へのマイナス影響を最小限にするための施策も必要です。

MAツールの移行を成功させるためには、本校で紹介したMAの全体像を理解しつつ、既存の運用体制への影響を最小限に抑えましょう。

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MA導入事例 

最後に、MA導入の参考事例として、BtoCビジネスのなかでもBtoBに近いビジネスモデルの当社クライアントの事例をご紹介します。ビジネスプロセスの整理から戦略への落とし込みの流れなどについて理解が深まりますので、ぜひお役立てください。

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おわりに 

本稿はMA運用と関連性の強いトピックのみに絞り、全体像を紹介しました。背景にあるマーケティング戦略の全体像や根底にある理論、フレームワークなどの詳細については、各記事の内容やそのリンク先コンテンツも参照してください。

マーケティング活動全体の戦略立案や部門間連携などでお悩みの際は、マーケットワン・ジャパンへお気軽にご相談ください。

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  1. Kotler, Keller『Marketing Management』 []