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【セミナー記事】製造業がデジタルマーケティングで目指すべき姿とAlways On Programとは?

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2023年を迎え、あらゆる業種でデジタルテクノロジーを活用したゲームチェンジが発生しています。

製造業においてもその波は着実に迫っており、多くの企業が競争力を確保するため、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に向けた取り組みを余儀なくされています。

2023年6月にレゾナック社 × マーケットワン共同セミナー「化学メーカーが挑む新製品拡販のためのデジタルマーケティングから学ぶ勘所と難所 」を開催しました。

その会の中でマーケットワン・ジャパンの熊倉がプレゼンした「製造業がデジタルマーケティングで目指すべき姿とAlways On Programとは?」の内容を記事化してお届けします。

Always Onを切り口に、製造業のあるべきデジタルマーケティングの姿について論考していますので、ぜひお役立てください。

製造業がDXを進める上での課題

そもそも「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」とは何なのかについて述べると、「デジタルを活用した変化への適応や競争上の優位性の確立」であるといえます。

事実、経済産業省の『「DX 推進指標」とそのガイダンス』では、DXの定義について以下のように述べられています。1

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

概して、経営層にはデータとデジタルを活かして解決していくことがDXに求められるものと定義できるでしょう。

とはいえ、経営上の課題をDXで解決していくことを主眼としている一方で、そもそものビジネス変革の方向性が定まっていないケースは多々見受けられます。

言い換えると、施策のゴールを定義しないまま、目先のデジタル技術の活用を繰り返して成果があげられないことが、多くのDXに取り組む企業にとっての課題なのです。

経済産業省の別の資料『DXレポート』 にある情報も参照すると、DXを実行するに当たっては、新たなデジタル技術を活用して「どのようにビジネスを変革していくか」の経営戦略そのものが不可欠であると説かれています。2

実際問題として、DXの必要性に対する認識は高まっているものの「ビジネスをどのように変革していくか」と、具体的な方向性を模索している企業が少なくないのではないでしょうか。

では、DXにかかる課題をどのように解決すればいいのかを論考するため、以下より既存業務のデジタル化の代表例について「営業活動のデジタル化」「顧客の情報収集のデジタル化」の2つを紹介します。

営業活動のデジタル化

コロナ禍において、多くの企業は営業活動のオンライン化を強いられ、従来の対面モデルから、対面・非対面を組み合わせたモデルへのシフトが進行しました。

 

営業活動のデジタルシフト

 

デジタルツールを使用することで、営業プロセスが大幅に効率化された結果、「リード管理」「顧客対応」「フォローアップ」などの活動が迅速かつ一貫性を持って行われるようになっています。

顧客の情報収集のデジタル化

顧客が求める営業との接し方においては、どのステージでも「半数以上が完全デジタル化」「オンラインでの対面を組み合わせたやり取り」を好むようになっているのが現状です。

顧客視点で「あるべき顧客接点の方法」について考える必要性が高まり、デジタル・リモート営業・対面営業を適切に組み合わせた「Go-To-Market」のあり方がDXの中で求められています。

これにより、アカウントベースのマーケティング(ABM)やインサイドセールスなど、新たな営業モデルの重要性が増してきています。

これらについては、本ブログの別記事で解説していますので、あわせてご参照ください。

関連記事:なぜABM(アカウントベースドマーケティング)は製造業と相性がよいのか?(1) – ABMがもたらす効果 –

関連記事:BtoB企業におけるインサイドセールスのあるべき役割とは?

 

MAがデジタル化にどう寄与するのか?

企業がデジタル化を図る上で必要なマーケティングプラットフォームとして、MA(マーケティング・オートメーション)が挙げられます。

MAは見込み顧客を管理するマーケティングデータベースであり、メール・LP(ランディングページ)などの、顧客の「デジタルにおける行動」を可視化できるようになるのが特徴です。

営業支援ツールであるCRMと連携することで、「オフラインの営業活動 × オンラインにおける顧客接点」の全体像を把握でき、ホットな見込み顧客の絞り込みも可能になります。

 

顧客ステージ

 

MAを使えば、マーケティング業務における、Webやメール配信、SNS、ペイドサーチなどの情報を組み合わせて自動化されたキャンペーンを実行できるのに加え、これらのキャンペーンや活動が全体の収益やパイプラインにどのように貢献したかも測定可能です。

また、昨今では、購買活動に割く時間におけるデジタルでの情報収集の割合が増えていると言われています。

その中で、顧客のWeb上での行動や、それによりどんなコンテンツを閲覧しているのか等の情報が重要になっています。

これらは「デジタルボディランゲージ」ともいわれ、「関心のある製品やソリューション」「顧客の購買サイクルにおける位置づけ」の可視化ができる、あるいは効果的にターゲットを絞り込んでナーチャリングが可能になるなど、多岐に渡る領域で役立ちます。

MA運用でキーワードとなるのは「ライトタイミング・ライトコンテンツ」です。

MAの自動化を活用すれば、リードスコアリングが実施できます。

それにより、フォローアップのために営業に引き渡すタイミングや、ナーチャリングのタイミングを自動で判断できるようになり、自社のマーケティング活動を大きく効率化できます。

MAはCRMシステムとデータ統合することが可能で、これにより究極的にはすべてのリードの行動が商談や受注した収益に結びつけられます。

MAとCRMのレポートを活用することで、以下の数値を計測可能です。

  • リード1件あたりのコスト
  • キャンペーンで獲得した収益パイプライン
  • キャンペーンが影響した収益パイプライン
  • キャンペーンROI(予算 / 収益)
  • 生成された新規リードの合計
  • キャンペーン・コンテンツのパフォーマンスとエンゲージメント・レベル

など

 

コストの算出

 

MAはデジタルシフトが半ばにある企業にとっては、「できること」が多くあるため難解なシステムのように思われがちです。

しかし、使いこなすことができれば、事実として各社のDXに大きく寄与することは間違いありません。

関連記事:MA(マーケティングオートメーション)の全体像とは?自動化を成功させるための必要知識

 

製造業が目指すべきAlways On Programとは?

以上のような特徴を持つMAを活用して実施するデジタル化の取り組みとして、Always Onがあります。

Always Onとは、「インターネットと接続し、常時利用可能なもの」意味します。

その上で、BtoBマーケティングにおける、Always On Programは、「デジタルテクノロジーを使いながら顧客接点を構築しつつ、常に自社で顧客対応ができるマーケティングの仕組み」といえます。

Always Onを構成するマーケティングプログラムで一番重要な考え方は、前述した「ライトタイミング・ライトコンテンツ」に他なりません。

MAを使いつつ、顧客が必要としている情報を「いかにして適切なタイミングで提供していくか」が Always Onの全体像であり、マーケットワンでは以下のように整理し、活用しています。

 

Always on型マーケティングの全体像

 

上図では、データを基にして、それぞれの分岐点を判断しています。

例えば顧客がクリックしたメールやWebの閲覧履歴などの行動情報を基に、各プログラム でコンテンツの「出し分け」を行うのです。

Always Onにおけるキャンペーンプログラムの具体例としては、以下のようなものがあります。

  • Welcomeプログラム
  • Introプログラム
  • Triggerプログラム
  • Calendarプログラム

次項より、それぞれ個別にみていきましょう。

Welcomeプログラム

Welcomeプログラムとは、リードとの初回接点となる施策です。

MAを通じて、見込顧客のWeb行動情報を取得するためには、CookieとDB内の個人情報の紐づけが必須となります。

Welcomeプログラムは、紐づけのためのWebページへの誘導が役割であり、初回の顧客接点であるため、製品・ソリューションの詳細よりも、会社・ブランドの概略から入る方が好ましいのが特徴です。

加えて、コンテンツ送信のタイミングも顧客側の関心度が高い、コンタクト獲得後の早期での送信が望ましいでしょう。

Welcomeプログラム

 

Introプログラム

Introプログラムでは、メール内に複数の製品・ソリューションに関する内容を記載し、Webページへのアクセスを誘導していくことになります。

メール配信後のアクセス履歴の分析を通じ、顧客の興味関心分野を特定していくことが目的です。

Intro 以降のTriggerプログラムで、特定の製品・ソリューションに関するコンテンツ提供を行うために、この段階で見込み顧客の興味関心分野を特定する必要があります。

 

Introプログラム

 

Triggerプログラム

Triggerプログラムでは、見込顧客が興味を抱いている製品・ソリューションに関するパーソナライズされたメールを展開します。

MAの機能を活用し、適切なタイミングで自動的に提供する仕組みを構築するのが通例です。

例えば、これまでの活動からマーケットワンのデータサービスに興味があることが推測される顧客向けに、関連コンテンツを提供していきます。その場合、顧客側のサービスに対する興味関心度合いを高めていくことが可能になります。

 

Triggerプログラム

 

Calendarプログラム

Calendarプログラムでは、見込顧客の購買タイミングを逃さぬよう、接点を維持し、長期的な関係を築いていくことが目的となります。

ニュースレターなどの定期配信の仕組みや構築を行うリエンゲージメントプログラムでは、顧客の興味関心を喚起するようなコンテンツの提供を通じて休眠コンタクトの掘り起こしを行います。

その一方、非アクティブなコンタクトを特定、排除することでDBの健全化を図っていくことも役割としてあります。

 

Calendarプログラム

 

Always Onの推進ではバリュープロポジションに立ち返ることが重要

MAを使った Always Onは、体制構築さえできてしまえば、非常に戦略的かつ再現性の高い取り組みといえます。

しかし、施策を成功させるためには、「デジタルだけ」を考えるのではなく「情報」という軸にした際にどのようにすべきかを考えることが重要です。

つまりは、自社の視点で意思決定できる「情報」が欲しい、顧客の視点では自分にとって有益な「情報」が欲しい、という事業を鑑みる必要があるとも言い換えられます。

この情報の「トランザクション(取引)」をいかに効率よく行うか、そしてその情報を関連部門でいかに共有するかを考えることが大事になるということです。

その視点で、Always Onを進めるなら「自社から発信する情報=コンテンツ」がどうあるべきかという視点に立ち返らなければなりません。

ここでネックになるのが「コンテンツの用意は一筋縄ではいかない」という点でしょう。

この問題を解決するために効果的なのが「すでに自社内にある情報・資料」などを再利用することです。

例えば、多くの製造業では技術資料などのコンテンツで外に出せるものは意外と多いのではないでしょうか。

とはいえ、そのまま出しても理解されない状態になっているケースも少なくないので、外部向けに「手を加える」必要はあります。

「何が見込み顧客に刺さるのか」について考えると、製品/技術そのものに価値があるのではなく「顧客側で活用した上での便益」が価値であるとわかります。

そこで、自社製品・技術を起点として、顧客にどのような価値を生み出すか、バリュープロポジションを考えながら棚卸するのが効果的です。

その上では、究極的には自社のバリューチェーンを支える全ステークホルダーに「マーケティング脳」を移植する覚悟を持つことも重要なのです。

 

顧客ステージ

 

つまり、 Always Onはマーケティングが「ただツールを導入しただけ」では達成されるものではなく、マーケティングがオーケストラの指揮者のような役割を果たしつつ、全社を巻き込んで推進していく必要があるのです。

まとめ

製品単価が高く、商談サイクルも長くなりがちな製造業の事業特性に対して、 MAを使った Always Onの取り組みは戦略的なDX施策だといえます。

Always Onを進める上では、顧客像から逆算しつつ、自社内に散らばったコンテンツの源泉となり得る情報を収集しなければなりません。

その際には、部門間での調整や顧客の生の声を拾っていくリアルな活動も求められるでしょう。

Always Onは単なる「現状の効率化」ではありません。これまで、自社がアプローチ・フォローし切れていなかった層も開拓の可能性がある、発展性のある取り組みです。

今回の講演のテーマであった「Always On」に関しての資料は、下記よりダウンロードできますのでぜひご確認ください。

 

ホワイトペーパーダウンロード

 

 


■注釈

  1. 経済産業省の『「DX 推進指標」とそのガイダンス』https://www.jimga.or.jp/files/news/jimga/200909_meti_guidance.pdf []
  2. 経済産業省の別の資料『DXレポート』https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_02.pdf []