マーケティングオートメーションの登場により、Demand Waterfall モデルにおける「マーケティングがリードを選別するフェーズ」が、AQL、TAL、TGL、TQLの4つのサブフェーズから構成されるものになりました。
ここでは具体的な各フェーズの内容を説明します。
目次
AQL (AUTOMATION QUALIFIED LEADS)
スコアリングにより、コール担当者が架電する価値があると自動的に判断されたリード
コール担当者が架電する価値のあるリードを抽出するためにマーケティングオートメーションは利用される。基本的にはマーケティングチーム内にいるコール担当者にリードが渡されるが、この時点で担当営業に直接渡される場合もある。
製品紹介メールのような、単に顧客の興味をフィルタリングするプログラムだけでは、リードがすぐに不足してしまう。そのため、顧客の興味関心を引き出すコンテンツを多数用意してメール開封数や、資料のダウンロード数を稼ぐこといった、新しくAQLを生み出すマーケティング活動も必要である。
TAL (TELEPROSPECTING ACCEPTED LEADS)
AQLの中から、コール担当者が継続的な架電の必要性を判断したリード
コール担当者はAQLのコンタクトに架電を試みた後に、継続的にフォローするか否かの判断をする。なぜなら、Webフォームなどで収集した情報が誤っている場合があるからである。
しかし、情報が正しいか否かを判断するには、実際に電話をして確認するしかない。そのため少なくとも一回は電話を架け、情報の真偽や、TQLに必要な追加情報を取得する必要がある。
TGL (TELEPROSPECTING GENERATED LEADS)
AQLが十分に存在しない際に、コール担当者が代表電話を突破し、取得したリード
このリードはスコアリングの基準を満たす見込み顧客が存在しない企業に対して、アウトバウンドコールを実施し、獲得したリードである。アウトバウンドコールは難易度が高いのだが、マーケティングキャンペーンの閑散期に社内リソースはタダだからといった軽い気持ちで行われることが多い。そのためTGLは他の3つのサブフェーズと比較して、管理することが非常に難しい。
KPIに関しても、難易度の高いコールとなるので他と同様に営業にパスした案件の数や金額で計測するのではなく、キーマンの発見やイベントへの登録、メールオプトイン(メール配信の許諾取得)などコールに応じて柔軟に設定することが重要になる。そのため、TGLによるリードは、案件化に至るまで数か月、もしかしたら一年以上かかることもある。
TQL (TELEPROSPECTING QUALIFIED LEADS)
コール担当者が実際に電話を行い、営業が訪問する価値があると判断したリード
会社が保有する顧客リストにコールするタイミングは非常に重要である。しかし営業は年間の売り上げ目標やパイプライン管理(受注見込みの管理)といった目標に追われているため、この重要なタイミングを逸する恐れがある。
そのため、マーケティング部門に、例えば「四半期ごとの営業へ渡したリード数」をKPIに持ち、キャンペーンカレンダーやスコアリングに応じて見込み顧客の発掘にあたるチームが必要であるといわれている。
[補足:会社が保有する顧客リストにコールするタイミング]
一般的に、あるコール対象リストに対して1回から3回の全件コールは一定の見込み顧客の発掘が見込まれるといわれているが、4回目を超えると、見込み顧客の獲得率が極端に落ちるといわれている。どのタイミングでコール対象を変えるかは、営業戦略を立てるうえで重要なポイントである。
また、電話を架けるタイミングも重要である。例えば雑誌などの外部メディアに記事を出稿し、その反応を見るために特定のリストに全件コールを複数回行う場合を想像してみてほしい。1回目の全件架電からの期間が短いと顧客の状況は1回目とあまり変化がなく、多くの成果を上げられない。逆に期間が長すぎると、顧客が記事を読んだことを忘れてしまう可能性が高く効果的な電話にならない。このように、顧客の興味関心のタイミングに合わせて電話をすることが重要になる。
キーワード
オプトイン
見込み顧客に対して、特定のメールの配信の許諾を取得する行為。事前に電子メール広告を承諾していない顧客への広告メールの送信は原則禁止されている。
パイプライン管理
決められた期限(四半期ごとなど)での売上目標を達成するために、初回訪問、製品提案、見積もり提出などの営業プロセスを管理すること。営業のプロセスで詰まっている部分を可視化したり、目標受注日から逆算して各プロセスをプランしたりする。パイプライン管理の精度が高まれば、受注時期の予測も立てることができるため、企業の売上予測やサービス部隊の人員確保にも役立てることができる。